介護施設において、感染症の発生および蔓延は非常に注意すべき要素です。高齢者はウイルスが感染した場合は治癒までに時間がかかり、若い人よりも重症となりやすい傾向にあります。最悪の場合は死に至るケースもあるため、施設全体をあげての感染症防止の取り組みは大きな課題です。実際に施設で感染症が広がると、どのような事態を招いてしまうのでしょうか。過去にあった実例を紹介します。
過去に介護施設で集団感染が起こったウイルスで代表的なものと言えば、ノロウイルスによる集団食中毒です。60人近くが入居していた施設で、入居者16人が下痢や嘔吐といった症状を訴えました。そのうち、80代の男性が嘔吐物を器官に詰まらせたことにより心肺停止となり死亡が確認されています。ノロウイルスの感染経路は、施設内で提供していた給食が原因とされており、調理担当者からもノロウイルスが検出されたようです。
昨今では新型コロナウイルスが大流行していますが、これは介護施設でももちろん例外ではありません。感染力の強い新型コロナウイルスは、むしろ入居者が多い介護施設では非常に強く猛威を振るう危険性があります。
従業員が外部からウイルスを持ち込んで感染を広げるケースが多いため、出入り時の徹底した消毒・手にした備品などの定期的な掃除、マスクをつけられる入居者には極力マスクを付けてもらうなどの対策が求められます。このように、介護施設での感染は入居者の命にも大きく関わる問題であるため、従業員が一丸となって予防に取り組まなければなりません。